最近、著作権法に関するニュースとして、「違法ダウンロードの拡大」「ダウンロードの刑事罰の強化」といった言葉をよく耳にします。このニュースを聞くと、昨年、「漫画村」というWEBサイトが話題になったことを思い出します。「こういうサイトの再発防止のための制度なんだろうな」という程度は想像が付くのですが、いまいち政治家や文化人の議論について行けません。

そこで、ニュースの前提として、著作権法のしくみについて簡単にお話します。著作権法は、音楽、書籍、絵画、マンガ、映画、写真、ゲームソフトなどをひとくくりに「著作物」として、それを作った人の権利を保護しています。

権利の保護の代表的な方法は、複製、つまり、コピーの禁止です。コピーの禁止というと、この動画をご覧の方などは、デジタルコピーを想像されるかもしれません。しかし、デジタルコピーだけでなく、例えば、紙に書かれたものをコピー機でコピーすることや、小説を書き写すことなども、禁止されています。

ただし、ここからが本題です。著作権法による規制の例外として、個人利用のためのコピーに限っては許されています。これが、大変重要な仕組みです。この制度があるからこそ、私達は、料理雑誌から気に入ったレシピをコピーしたり、テレビ番組を録画したり、音楽をスマートフォンに保存したり、町中で目にとまったポスターを写真にとったりすることができるのです。

そして、この規程に従えば、インターネット上の動画や音楽をダウンロードすることも、個人利用であれば許されることになります。元々は、このような仕組みでも大丈夫なはずでした。個人利用のためのダウンロードを許していても、アップロードは違法ですから、アップロードする人間を取り締まることで制作者(著作権者)の保護が図られるはずでした。しかし、デジタル技術が発展した結果、誰でも原作と遜色のないものをコピーして、それをインターネットにアップロードすることが可能となりました。そのため、アップロードを十分に取り締まることができなくなりました。

そこで、いまから9年前に著作権法が改正され、違法にアップロードされた動画や音楽については、個人利用のためにダウンロードする行為も許されないことになりました。ただし、注意点として、第1に、規制の対象は、違法にアップロードされた動画や音楽に限られます。そのため、例えば、皆様がこの動画を個人利用のためにダウンロードしても大丈夫です。

また、第2の注意点として、この規制の対象は、動画、音楽、ゲームに限られており、写真や書籍などは対象となっておりません。そのため、これまでは、違法にアップロードされたマンガをダウンロードすることについても、個人利用の範囲であれば許される仕組みになっていました。

そこで、書籍や漫画などについては、違法なアップロードされたものの閲覧が広まってしまえば、著作者を保護することができなくなってしまっています。このことが、今回の著作権法改正についての議論の出発点となるのです。

以上、今回は、違法ダウンロードの拡大以前の基礎知識として、著作権法の建付けや改正経緯についてご説明しました。

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著者プロフィール


田代隼一郎 弁護士

おくだ総合法律事務所
平成24年弁護士登録
福岡県弁護士会所属
熊本県熊本市出身
真和高校卒
九州大学法学部卒
大阪大学大学院高等司法研究科修了