公衆浴場法の解説




こんにちは、弁護士の田代です。
今回の動画は、「公衆浴場法」について解説いたします。
今話題になっております。特に福岡県で話題になっている法律ですので、福岡県内の弁護士として解説させていただきます。

まず公衆浴場法の対象ですね。ここからの解説なんですが、まずざっくり言うと、この法律はとても古い法律です。昭和23年ぐらいだったか、戦後すぐに作られた法律で、目的は法律上書かれてないんですけど、基本的には公衆浴場、つまりお風呂屋さん、いろんな人が入りに来る風呂ですよね。そこを清潔に、衛生の維持、あと風紀の維持ですね。ゴロツキというか、そういう人たちの集まりにならないようにという風紀の維持と、あと衛生の維持、それを図るという目的です。

さらに、その頃は一家に一つお風呂はなかったんですよね。なので、その公衆浴場の衛生の維持というのは、もう国民の皆様の清潔の維持というのに直接関わってくるという、一応そういう観点から作られた法律です。

そういった観点で、この公衆浴場法の対象というのは二つに分けられてます。
一つは普通公衆浴場(一般公衆浴場)
これがまさにこの法律のイメージ通りのもので、地域の人、住民の日常生活において保健衛生上必要な施設ということで、公的な意味が大きい施設ということです。ただ、今はそういった地元の銭湯というか、お風呂がない人が入りに来るような、そういう施設はもうだいぶ限られておりまして、それ以外の施設のほうが、皆様には逆に身近になっているかなと思います。
それがその他の公衆浴場で、例えばスーパー銭湯ですね。あるいはスポーツジムとかゴルフ場とかにある大浴場。あるいは岩盤浴とか、こういったものもこの公衆浴場法の対象になります。
あと日帰りプラン、これは旅館ですよね。旅館なんですが、日帰りプランとなるとお風呂に入りに行く、というようなことになるので、やはりこの公衆浴場法の対象で、ただこれらは全部その他の公衆浴場ということになります。

このように分けられてる理由ですが、規制が違います。
この普通公衆浴場、つまり地元の家にお風呂がないような方が入りに行くというような、そういう昔ながらのイメージの浴場については、規制が大きい。どういう規制かというと、
まず参入規制ですね。そういう銭湯を地元の銭湯の近くにもう1軒建ててはいけない。これはつまり、銭湯の経営を安定させ保護するんですよね。要するに、なくなってしまったらその地域のお風呂がない人たちが困る、そういう昔のイメージです。
さらに、入浴料金についても、これも全部決まってます。自由競争ができない。例えば、福岡だと大人が450円、あと子供は70円ぐらいだったかな。(ごめんなさい、正確じゃないですけど、子供は100円しない。)
そんな形で料金も決められてる。これは、高いとその地元の人たちが入れないので困る、そういうイメージですね。

その一方で、その他の公衆浴場はスーパー銭湯とかで、それなりの値段がしますよね。1回1000円とか、あるいは数百円はすると思いますので、こういったその他のものについては規制は小さい。

そうすると、この普通の規制が大きいほうってあんまり経営する意味がないんじゃないかと、経営者としての見方もあるかもしれませんが、ここはいろんな「優遇」ですよね。
例えば水道料金だとか税制上の優遇だとか、あるいは補助金などでメリットがある、というふうに一般的に言われてます。

あと規制対象について今見ていきましたので、ちょっと細かい話ですが、
さっきの日帰りプランのお話なんですが、これは宿泊するお客さんが対象の場合にはそれは「旅館業法」の規制になる。
なので、公衆浴場法と旅館業法に違反するというニュースなどは、こういう日帰りプランの場合には公衆浴場法、宿泊客の場合には旅館業法という、そういうことでこの二つの名前が出てきます。

もう一つややこしいんですが、「温泉法」こういったものもございまして、これは温泉と、それ以外のいわゆる銭湯の区別なんですが、温泉っていうと地中の地面の中から湧き出てくる温水などで温度が25℃以上だったら温泉なんですよね。25℃に満たなかったら何かというと、中の物質による。例えば硫黄とかどういう物質がどれだけ含まれているかというので、温泉かどうかというのが決まる、という、一応そういう理解になりますが、温泉であっても、そこに人が集まって、提供するお風呂屋さんだったら公衆浴場法の対象になります。
ただ温泉のときは、多くは一般公衆浴場じゃなくて、その他の公衆浴場のことが多いかなと思います。イメージとしてですね。

この”公衆浴場法による規制”というのがどんなのかというと、これはさっきの一般もその他もどれも含まれる規制ですけれども、ざっと見る全体像としては、このような内容になります。

まず営業の許可。誰でもできるというわけではなくて、許可が必要です。また、許可を受けた人が亡くなって、それを相続するという場合でも、その時にも手続きが必要になります。誰でもできるわけじゃない。

あと、伝染病にかかってる人は入浴させてはいけません。そういうことで衛生上の規制があります。

さらに、衛生・風紀の維持というので、様々な設備の基準だとか、あるいは男女が分かれているだとか、いろいろな機器設備の基準がございます。

この点、最近よく目にする例として、これは福岡県の条例で決まってるので場所の地域によって違うかもしれませんが、例えば浴槽の中の水の入れ換えですよね。これは1日に1回以上しなければいけないとか、あるいは浴槽の中の水の水質として濁度が5度以下、有機物が8mg以下だとか、大腸菌群がこれだけ以下だとか、あとレジオネラ属菌がこれだけ未満だとか、そういう水質の基準もございます。

あとその他には、こういう基準だけがあっても仕方がないので監督ですよね。満たしているかどうか、都道府県が監督をする。立ち入り検査だとかあるいは報告をしないといけないとか、そういうものも監督に含まれます。

さらにこの監督した結果によっては、例えば営業許可の取り消しだとか営業の停止、こういったことを都道府県がすることがあります。

さらにそれ以外に、罰則ですよね。虚偽の報告だとかそういった場合には罰則ということもありうる。

こういう制度が全体像になります。

以上簡単でしたが、今回の動画では公衆浴場法を解説いたしました。