契約書は何のために作成するのでしょうか。 それはズバリ、自社を有利にするためです。

ビジネスの世界では、契約内容は当事者が自由に決めてよいこととされており、そうして一旦契約が決まれば(つまり双方が印鑑を押せば)その内容に双方が拘束されるということになります。

たとえば、契約条項の中に、「本契約に関する訴訟については、○○地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする」という条項を入れる場合、こちらが東京の業者なら○○は「東京」としておくのが有利ですし、仮にこちらが沖縄の業者なら○○は「那覇」とすべきです。沖縄の業者が東京の業者と取引する場合、上記の○○を「東京」としてしまうと、沖縄の業者としては、東京の業者の言い分がどんなに理不尽なものであろうと、取引に関するもめ事を裁判で解決するためには、東京地方裁判所を利用せざるをえず、そのためのコスト(たとえば、沖縄の弁護士に東京の裁判所まで出張してもらう費用。1回あたり10万円以上かかることもあるでしょう)は沖縄の業者が自分で負担することになってしまいます。

ですから、自社の取引に使用する契約書は、あらかじめ、自社に有利なひな形を作成しておき、自社と取引を希望する相手には、このひな形を使用するよう要求すべきですし、また、相手からひな形を提示された場合には、その内容は当然相手に有利になっている筈ですから、契約条項をしっかりチェックして、自社に不利になっている条項については交渉の余地がないか検討してみるべきでしょう