こんにちは、弁護士の奥田です。
今日はゴルフ場での打球事故に関する法的な話をしたいと思います。

どういうケースかと言うと、 A と B が一緒にゴルフを回っていて、 A が打った球が B に当たってしまい、 B に怪我をさせてしまったというような場合です。

この場合 A は賠償責任といって、B の損害を賠償する責任を負うわけですが、ゴルフ好きの方だであればゴルフ保険や、あるいは個人賠償責任保険という保険に入っていれば、賠償責任は保険でカバーされることになります。

ただここで注意が必要なのは、 A の賠償責任を考えるときに、法律上、 B にも落ち度があれば「過失相殺」ということをされてしまいます。

どういうことかと言うと、例えば 、B の怪我をしたことによる損害が全部で1000万円であったという場合に、 例えばB にも落ち度が4割(40%)ある、ということになると、損害1000万円のうち、B の落ち度分の400万円は賠償されない、ということになります。Bには600万円だけしか賠償されません。
保険は「 A が負うべき賠償責任の範囲」で保険が支払われるわけですから、法律上 A が負うべき賠償責任は、仮にB にも落ち度が4割あれば、総損害が1000万円だとすると600万円しか責任を負わないということになり、保険は600万円しか出ないということになります。

A と B が全くの他人というケースであれば、 A としても割り切れるのかもしれませんけれども、ゴルフに一緒に行く仲なわけですから、相手が親しいご友人であったり、あるいは取引関係の方だったりすることが多いわけです。

その時に、A としては、 「B の落ち度など主張したくない、俺(A)が悪いから全額払いたい」と思うのですが、ただ保険会社は 「A が法律上負うべき責任まで」しかお金を出しませんから、今回の例でいうと、600万円しか出ないということになります。
ですので、同伴競技者同士の打球事故の場合は、この「過失相殺」ということが必ず問題になります。

さらに、その過失相殺の割合というのは、ケースにもよりますが、基本的に打球事故というのは A よりもホールに近い側 、すなわちA よりも前に B が出ていることによってボールが当たる、ということがほとんどですので、そうすると、この過失相殺ということからすると、「B が、今から打とうとする A よりも前に立っていた」というだけの理由で、大幅な過失相殺がされることが多いと思います。

さらに、過失相殺とか事故が問題になるようなケース、大きな損害が生じるケースは、 被害者がA よりも前で、なおかつAに近い場所に立っている場合です。打球のスピードエネルギーがそれだけ加わるわけですから、 B にも大きな損害が生じてきます。

そうすると、この場合は過失相殺も大きめに取られるということになります。 A よりも前に行って、さらに近い場所にいるということは、それだけ危険なんだ、という考え方がされることもあり得ます。
ですので、ゴルフ場でプレーをされる時には、前方に同伴競技者がいる時には打たない、特にその近い場所にいる時は絶対に打たない、あるいは B の方も、今から打とうとする人よりも前には極力行かない、行くとしても距離を置く、物陰に隠れる、など、自衛措置をされるということが非常に大切ではないかと思います 。

著者プロフィール


奥田貫介 弁護士

おくだ総合法律事務所 所長
司法修習50期 福岡県弁護士会所属
福岡県立修猷館高校卒
京都大学法学部卒