今年7月、厚生労働省および警察庁は、これまで脱法ドラッグ”、“脱法ハーブ”、“合法アロマ”等と呼ばれていたドラッグについて、その呼称を“危険ドラッグ”に改めることを発表しました。 呼称の変更ですから、何か新しい法律等が制定されたということではありません。よって、薬物に対する取締りは基本的にはこれまで通りのルールで行なわれます。では、それは一体どのようなルールなのでしょうか?そして、新たな呼称への変更の意味はどこにあるのでしょうか?

1. 薬物四法による規制

薬物と聞いたときに思い浮かべるような“覚せい剤”“大麻”“コカイン”“ヘロイン”等は、違法薬物の中でも特に身体に害を及ぼすもので、大変危険なものであるため、特別の法律である「覚せい剤取締法」や「大麻取締法」、「麻薬及び向精神薬取締法」「あへん法」(薬物四法)による規制がなされています。
よって、これらの法律に規定されている薬物の輸出入、製造、使用、所持、売買等を行うことは、当然に違法で、刑事罰の対象となります。

ところが、これらの薬物というのは化学物質や植物であるため、“規制薬物に類似した化学構造や成分をもち、症状も同様であるドラッグ=脱法ドラッグ”が、違法な業者によってどんどん輸入、製造されてしまいます。なぜかというと、そのようなドラッグは、本来予定されている薬物とはわずかに成分が異なるために、上記のような法律の規制の対象にならないからです。

2. 薬事法における「指定薬物」の規制

これでは、いくら法律による規制をしても抜け道だらけということになってしまいます。そこで現在は、薬事法という法律によって、より柔軟な対応がなされています。
薬事法は、「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」を指定薬物と定義し、これらの物質を含む製品についての、医療・学術研究等の目的以外での製造、輸入、販売、授与、使用等を禁止しているのです。
また、この“指定薬物”は、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見に基づき新たに追加して指定することが出来るため、新たな薬物への迅速な対応が可能です。
さらに、化学構造が類似する薬物をまとめて規制する「包括指定」も可能となっており、これは、成分や症状が類似しているのに一切規制の対象とならない、というようなドラッグを減少させるには効果的であるといえます。

3. “危険ドラッグ”で何が変わるのか

以上のことからわかるように、これまで“脱法ドラッグ”と言われてきたものは、違法薬物と同様、あるいはそれ以上に危険で、一刻も早く取締りがなされるべきであるにもかかわらず、規制がおいつかずにいたものです。
しかし、薬事法の指定薬物の制度が導入されて以降は、含まれる成分によって規制の対象となるものが増え、必ずしも脱法とは言えないにもかかわらず、“脱法”と呼ばれるばかりに使用者が後を絶たない、という状況でした。
そこで、国民に、薬物の危険性についての意識を高めてもらい、薬物の乱用防止をより一層徹底するという目的で、“脱法”という言葉を排した“危険ドラッグ”という呼称が新たに定められたわけです。
“脱法な有害薬物がある”という意識を皆が捨てることによって、薬物の使用を許さない社会にしていくことが求められているのだと思います。

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