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前回の記事で、私人が法で定められた手続きによらずに他人に対して何らかの制裁を加えること(=私的制裁)は、どんな理由であれ許されないということを書きました。

私的制裁が許されない代わりに、犯罪者に対する制裁はすべて国家が行ないます。そして制裁を受けるべき人にきちんと制裁を課すための第一段階として、まず、犯罪に対する“捜査”が“捜査機関”によってすすめられます。

Q.そもそも“捜査”、“捜査機関”とは?

 ある犯罪が誰によって、どのようにして行なわれたのか、その証拠を集めていく作業が“捜査”です。
捜査の結果、被疑者とされる人が実際に犯罪を犯したという確証が得られれば、その被疑者は起訴され、その後、裁判によって有罪無罪が判断されていきます。
このような、捜査についてのルールは、刑事訴訟法にきちんと定めがあります。
そして、刑事訴訟法の定める捜査機関には、次の3つがあります。
・司法警察職員(刑事訴訟法189条2項、190条)
・検察官(刑事訴訟法191条1項)
・検察事務官(刑事訴訟法191条2項)

これらの捜査機関は、わずかな情報から“何が起ったのか”ということを示す証拠を集めなければならないので、国民からの情報提供がとても重要となってきます。
たとえば、現場近くでは聞き込み調査が行なわれて、目撃者がいればその証言を集めていきます。また、被疑者の情報を把握するために、その友人のもとや、職場等にも警察官や検察官がやって来るでしょう。あるいは、前回の記事で少し述べたように、「おたくの会社の顧客情報を見せて下さい」だとか、「おたくの防犯カメラの映像を提供して下さい」という依頼が来ることも少なくはないはずです。

Q.捜査には必ず協力しなければいけないのか?

 では、もしもこのような“捜査協力”として情報提供などの依頼を受けたとしたら、これには必ず応じなければならないのでしょうか?

⑴個人の場合
あなた個人のもとに捜査機関が情報提供を求めてやってきた場合、それは基本的に“任意捜査”ですので、これに応じなければならないという義務はありません。
よって、これに応じなかったからといってあなたが何かしらの罰を受けるということはありません。
もっとも、被疑者である友人をかばおうと嘘の事実を述べたり、被疑者の本当の居場所を知っているのに別の場所を述べたりすれば、業務妨害罪(刑法233条)や犯人蔵匿罪(刑法103条)に該当してしまう可能性があります。

⑵会社等の団体の場合
次に、個人ではなく、会社やサークル等の何らかの団体が情報提供を求められた場合はどうでしょうか?
刑事訴訟法197条2項をみてみると、次のような規定があります。
「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」
この規定により、“公務所又は公私の団体”には捜査に応じ、必要な情報を提供する義務が生じていることになります。
とはいえ、情報提供に応じなければ強制的な措置がとられるのか、や、拒否した場合に罰を受けるのか、といったところまでのルールは定められていませんので、実質的には、必ずしも捜査機関からの依頼に応じる必要はないと言えそうです。
ただし、被疑者に関する重要な情報が会社に存在する場合等には、捜査機関が令状をもって差押え・捜索・押収を行なう場合があります。これについては、拒否の余地はありません。
なお、会社が顧客情報等を捜査機関に提供したとしても、これは「法令に基づく場合」(個人情報保護法 8条1項)に該当しますので、個人情報保護法違反とはなりません。

以上のように、捜査機関の捜査に協力する義務は必ずしも強力なものとはいえませんが、何か捜査に役立つ情報がある場合には、捜査機関による真相解明のために、捜査にはできるだけ協力すべきだといえるでしょう。

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