結婚式・披露宴のキャンセルを検討する際の留意事項

1 はじめに

今回は、結婚式・披露宴のキャンセルを検討する場合の留意事項についてご説明したいと思います。
コロナ禍が結婚式にも大きな影響を与えていることは、ご存じのとおりです。
泣く泣く延期を決められた方、開催の見通しが立たずにキャンセルに至った方、あるいはなんとか工夫をし、制限されていることとすり合わせながら開催できた方、様々いらっしゃることと思います。結論はどうであれ、当事者の方がそこに至るまでに色々な情報を集め、たくさん悩み、迷いながら決断した、という過程は同じなのではないかなと思います。私の周りにも、そういった友人が何組もいました。
いま結婚式を準備している、これから準備しているけれども、コロナの関係でどうかな・・と考えていらっしゃる方におかれて、少しでも参考になればなと思い、今回このようなテーマを選んでみました。

2 そもそも、キャンセルはできるの?

⑴ キャンセルの法的性質

キャンセルは、法律用語で表すと「契約解除」ということになります。

⑵ キャンセルはいつでも自由にできる?

結論から言うと、できません。
契約は、一度成立すると法的に保護される約束事ですから、これを一方的にキャンセル(解除)することはできません。

ただ、民法や契約書に書かれた条件に従い、契約を解除できる場合があります。
たとえば、契約書に「キャンセル料(解約金、違約金)を支払った場合」、「〇日前に相手方に通知した場合」、「決められた期限内に相手が約束を守らない場合」等に「本契約を解除できる」といった記載がある場合は、その内容に従って契約を解除できる、というわけです。
この後お話するキャンセル料は、解約条件として取り入れられることの多い仕組みの1つです。

⑶ 契約書を確認してみましょう

結婚式・披露宴を申し込んだ際に作った「契約書」一式を確認してみてください。
・そもそもキャンセルできないもの
・条件に従ってキャンセルできるもの(キャンセル料金の発生するもの/しないもの)
に仕分けできると思います。
たとえば、結婚式のために事前に購入したもの(衣装、引き出物、結婚指輪等)については、既に契約が完了していてキャンセルできない可能性があります。
他方、当日レンタルするもの(式場、レンタル衣装等)や、当日の業務(カメラマン等への依頼)は、キャンセル料を支払えばキャンセルできる可能性があります。
おそらく「解約」「解除」「キャンセルポリシー」といった小見出しの条項があるのではないかと思います。そこに書かれている条件が、キャンセルするための条件です。

なお、「解除・キャンセル」だけでなく、「延期」にまつわる条件についても契約書に書かれている場合がありますので、合わせて確認してみてください。

3 キャンセル料について

⑴ キャンセル料の法的性質

キャンセル料は、契約解除によって相手方が被る損害を賠償するための費用(場合によっては事務手数料・実費も含む。)、ということになります。

⑵ 契約書で、キャンセル料を確認しましょう

契約書をご確認いただき、解約条項にキャンセル料(解約金、違約金)が必要であると定められている場合、キャンセルする側はその内容に従うことになります。
特に結婚式・披露宴の式場の契約では、当日に近づくにつれ、キャンセルとなった場合の式場側の損害が大きくなる関係にあります。当日に近づくほど、キャンセル後の再契約が難しくなるからです。リカバリーが効きづらくなるわけです。
そういった趣旨で、結婚式の契約は、解約日が当日に近づくほどキャンセル料も上がっていく方式を取っているところがほとんどです。
旅行プランやホテルの部屋も、同じ理由で同様のキャンセルポリシーが採用されていることが多いです。

⑶ キャンセル料の分担について、ふたりで話し合いましょう

キャンセルする場合、キャンセル料をどのように分担するか、新郎・新婦となるふたりの間で、予めきちんと話し合っておくことをおすすめします。
基本的には、結婚式を開いた場合の費用負担と同じ割合で、キャンセル料の負担を分けるとよいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

⑷ キャンセルの時期を明確にしましょう

また、解約時期ごとにキャンセル料の金額が変わる場合は、解約時期の認識に食い違いが生まれないよう、しっかりとキャンセルの手続を行うことが肝要です。
おそらくほとんどの業者さんは準備されているかと思うのですが、電話等の口頭ではなく、書面で手続を行うようにしましょう。書面により、こちらが解約の意思を示したこと、そしてその時期を、明確に残しておくことが望ましいです。

⑸ コロナ禍でも、キャンセル料は発生する?

結論から言うと、法律上は、コロナ禍をふまえた式場キャンセルであっても、キャンセル料が免責されることにはなりません。そのため、キャンセルしようとする側が、規定に従ったキャンセル料を支払う必要があります。
コロナ禍であっても、結婚式・披露宴を開催しようとすればできる環境である以上は、”キャンセルする側の都合でキャンセルする”という理屈になってしまうのです。

 

⑹ キャンセル料が異常に高いと思われるとき…

なお、式場のキャンセルを検討されている方で、契約書を見たときに「なんだか異常に高いな」「他の式場だったらここまで取られていないみたいだけど」といったケースであれば、1度 弁護士や国民生活センター等に相談に行かれてみてください。消費者契約法第9条に基づくキャンセル料の交渉があり得ます。
この法律は、当該契約に規定されるキャンセル料が、その事業者に生ずべき平均的損害額を超える場合は、その超える部分を無効とする規定です。要するに、キャンセル時の平均的損害額が10万円である事業について、100万円をキャンセル料と規定する条項は、差額部分90万円が無効になり、10万円をキャンセル料として支払えば足りることになります。

4 ポイントまとめ

以上をまとめると、結婚式・披露宴のキャンセルを検討する場合は、以下の6つのポイントに留意していただきたいと思います。

①契約ごとに、契約書を確認しましょう。
②キャンセルの可否を確認しましょう。
③キャンセルできる場合は、条件(キャンセル料の有無/金額)を確認しましょう。
④キャンセルする場合は、関係者(特に、新郎・新婦となるお二方)において、キャンセル料の分担について事前に話し合っておきましょう。
⑤キャンセルする場合は、所定の手続に従いつつ、”キャンセルすること”と”キャンセルする時期”を明確に残しておきましょう。
⑥各関係先との話合いが難しいと思われる場合は、無理せず専門家(弁護士、国民生活センター等)に相談してみましょう。

5 おわりに

以上、結婚式・披露宴のキャンセルを検討する場合の留意点について、ご説明しました。
今回の動画・記事が少しでもご参考になれば幸いです。

著者プロフィール


井上瑛子 弁護士

おくだ総合法律事務所
兵庫県立神戸高等学校卒
九州大学法学部卒
九州大学法科大学院修了
福岡県弁護士会所属

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