保釈って誰でもみとめられる?

 ニュースで耳にする“保釈金”という言葉。
 これを聞いて、「逮捕されたはずなのに、お金を払ったら解放されるの? お金がある人だけ、特別?」と違和感を覚えたことはありませんか? そこで今日はこの保釈という仕組みについて、整理してみていきたいと思います。

1.保釈ってどういう仕組み?

 保釈とは、被告人(=犯罪を犯した疑いがあるとして起訴され、身体を拘束されている者)の身柄を、保釈保証金の支払いを条件として釈放する、という制度のことをいいます。

 保釈には、権利保釈・裁量保釈・義務的保釈の3種類があります。
 まず、被告人側から保釈の請求があった場合、裁判所は原則としてこれを許可しなければなりません。これを権利保釈といいます。ただし、その被告人に重大な前科があるときや、常習犯であるとき、起こしたとされる事件が殺人事件であるとき、証拠を隠すおそれがあるとき等は、例外として保釈を許可しないことができます。
 つぎに、上記のような権利保釈の例外に当たる場合(=つまり、法律では保釈が認められない場合)であっても、裁判官の判断で保釈を認めても良いとされています。これを、裁量保釈といいます。
 最後に、通常あまり行なわれませんが、不当な身体拘束が続いている場合には、保釈をしなさい、ということになっています。これが、義務的保釈です。

 このことからわかるように、保釈というのは、請求をすれば原則認められるものだ、という建前となっています。

2.法律の建前は本当?

 ところが、保釈についての実務は、とても厳しい運用がとられています。ここ10年間の保釈率は、毎年10%~20%程度にとどまっています。つまり、勾留中の被告人のうち、10人に1~2人しか保釈されていないのが現状です。

 このような現状について、弁護士達は、「権利保釈は死文化しており、裁量保釈も窒息状態にある」「現在の刑事司法は、人質司法だ」などと嘆いています。

3.保釈金は返される?

 このような厳しい運用の中、何とか保釈が許可されたとしても、保釈金を支払わなければ被告人は釈放されません。保釈金を支払うことが保釈の条件とされているのです。

 しかし、このことは、“お金で解決”というのとは少し違います。というのも、保釈金は、保釈保証金とも呼ばれることからわかるように、保証金の性質をもっているのです。これが何を意味するかというと、いったん支払った保釈金は、被告人が逃げない、隠れない、ということを“保証”するお金なので、基本的に裁判の終了と同時に、被告人に返還されるのです。
 ただし、被告人が、釈放されてから裁判が確定するまでの間に逃亡したり、証拠を隠したりという行為を行なうことにより保釈を取消された場合には、保釈金は没収され、再び身体を拘束されます。

 あくまでも保釈金というのは、罪を償うための罰金ではなく、逃げ隠れしないということを約束するためのお金ということですね。

4.保釈金の金額はどうやって決められる?

 最後に、保証金の金額についてですが、額が一律に決まっているわけではありません。

 これは、裁判所が、犯罪の重さや、被告人の経済状態、生活環境などの事情を考え、その事件で被告人の逃亡や証拠の隠滅を防ぐにはどのくらいの金額を納めさせるのが適当か、というのを判断して決めます。つまり、下手なことをしてそのお金を没収されると生活に困る! というくらいの額になるわけです。

 この保釈金の額は、最低でも100万円~150万円は必要だといわれています。また、ライブドア事件のホリエモンなどは、数億円の保釈金が必要とされました。

5.おわりに

 以上でなんとなく保釈、それから保釈金の仕組みについて納得していただけたかと思います。すこしこれを意識しつつニュース等みていただくと、より理解していただけるかもしれません。

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