ホームページ制作委託契約の最重要ポイント

こんにちは、弁護士の尾形達彦です。
今回は、HP制作契約作成の最重要ポイントというテーマでお話いたします。

みなさんは、HPをお持ちでしょうか。個人的にお持ちの方はあまり多くないかもしれません。一方で、個人事業主の方や会社を経営されている方はお持ちの方が多いのではないでしょうか。最近では、HPをご自身で独自に作成するというよりは、HP作成のノウハウを持った会社に、作成を依頼することが多いのではないかと思います。

本日は、HP作成を業務として行う会社に、弁護士として、ホームページ制作契約書作成を依頼されたと想定して、どこをポイントと考えるか、解説していこうと思います。

ただ、HPを作成してもらうことがあるという方にとっても、HP制作契約のどの部分に注目したらよいか、理解いただける内容としたいと思っております。

まず全体像をお示しします。
ホームページ制作契約の作成にあたり、この契約に特有で、最も重要な点を4つ挙げるとするならば、
①業務の内容
②納品・検収の方法
③著作権の処理
④保守管理契約との関係
と考えます。ひとつひとつ見ていきましょう。

まず、①業務の内容です。
ホームページ制作契約は、どのような性質の契約でしょうか。
ホームページ制作契約は、いわゆる業務委託契約、すなわち、業務を委託して、委託料を支払うということを主な目的とした契約です。委託者がホームページを制作してもらう人、受託者がホームページの制作者ということになります。

業務委託契約においては、業務の内容と委託料の支払い時期、額、支払い方法を定めれば最低限契約としては成り立ちます。そうすると、ホームページ制作契約においても、ホームページ制作を業務として、委託料を定めればそれで十分ともいえそうな気がします。

しかし、一口にホームページ制作といっても、「ホームページを作ってくれ」、といわれて、「できました」という訳にはいきません。実際には、HPのレイアウトのイメージの聞き取りや、載せたい画像や文章の協議、文章の添削、HP運用後のサポート等々、業務の内容は多岐にわたります。そのため、ホームページ制作契約においては、このような業務の内容を明確化することが最も重要となります。ホームページを作成して納品するという業務は必須として、それ以外の業務も明確化することが重要です。

例えば、
 HPのコンテンツ作成の助言
 文章の添削
 ドメインの取得
 運用後の不具合の修正
等があげられます。

また、各業務が、請負としての性質、すなわち、基本的に成果物をわたして初めて報酬が発生するものなのか、それとも、委任としての性質、すなわち、基本的に成果物がなくても報酬が発生するものなのか、明記すると良いでしょう。このように明記することで、予期せず契約が途中で解除となったときに、報酬の一部を請求できる可能性が上がります。

以上を踏まえ、例えば、このような条項があると良いでしょう。

第●条(定義)
本契約書において使用される用語の定義は、以下の各号のとおりとする。
① 「本件制作業務」とは、下記の表に基づいて乙が甲に対して提供する本件ホームページを制作する請負形態の業務をいう。
② 「企画支援業務」とは、下記の表に基づいて本件ホームページの制作のために甲が行う企画に関して、乙が甲に対して提供する準委任形態の支援業務をいう。

次に②納品・検収の方法です。
ホームページ制作自体が、ホームページという成果物をわたすことを目的としている以上、どのような場合に成果物をわたしたことになるかを明確化することが重要です。そのため、納品・検収の方法を定めるのが良いということになります。

ホームページの納品の方法は、かつては、ホームページ一式が入ったCD-Rをわたすということもあったかもしれません。しかし、現状では、WordPressなどを使ってホームページを作成し、サーバーにアップロードするという形での納品が主流かと存じます。いずれにせよ、作成したホームページに適した形での納品を定める必要があります。

また、納品したホームページが適切に動くか等を委託者がチェックするという、検収の作業と、検収の期間を定める必要があります。検収の期間を無限定とすると、ホームページ制作者に負担がかかることになりますので、検収の期限を設けると良いでしょう。

以上を踏まえ、例えば、このような条項があると良いでしょう。

第●条(納品・検収)
1 乙は、本件ホームページを、別表記載の納品期日までに納品場所に納品するものとする。
2 甲は、本件ホームページの納品の日から 10営業日以内に検収を行い、合否を乙に通知するものとし、不合格である場合には、不合格の理由を併せて乙に通知する。
3 前項の期間内に甲から乙に不合格の通知がなされない場合、検収に合格したものとみなす。

次に③著作権の処理です。
ホームページ制作には、様々な著作権が関係します。画像や動画、文章、プログラム等。こういった著作権を、誰に帰属させるかは、後々の紛争を防ぐ意味でも明確化することが望ましいです。

ホームページ作成後、主に使用することになるのは委託者なので、ホームページ作成にあたり新たに制作された著作物の著作権は、委託者に帰属させることが一般的かと存じます。加えて、ホームページ制作者としては、プログラムの権利すべてを委託者にわたすと、それを自由に改変・売却されてしまうおそれもありますので、プログラムについては別途の考慮が必要となるでしょう。

以上を踏まえ、例えば、このような条項があると良いでしょう。

第●条(著作権の帰属)
本件ホームページのうち、本契約の履行に関連して新たに制作された著作物の著作権は、甲から乙への委託料の支払完了とともに乙から甲に移転するものとする。ただし、本件ホームページに含まれる著作物のうち、他のウェブサイトで繰り返し利用可能なプログラムの著作権は、乙に留保される。

最後に、④保守管理契約との関係です。
昨今では、ホームページを作成して終わりではなく、適宜情報更新、レイアウト変更を行うことが通常かと思います。こういった場合、ホームページを制作した会社に引き続き管理をお願いすることが多いと思います。

そのため、ホームページ制作会社としては、ホームページの作成契約と同時に、ホームページの保守管理契約の締結を委託者に要請することとなります。この際、ホームページの制作と保守管理を同時に契約して欲しい場合には、ホームページ制作契約の中に、保守管理契約の同時締結を義務付けることも考えられます。

以上を踏まえ、例えば、このような条項があると良いでしょう。

第●条(保守管理委託契約の締結)
甲は、本契約を乙と締結する場合には、同時に、乙と本件ホームページの保守管理を委託業務とするホームページ保守管理委託契約を締結せねばならない。

以上、ホームページ制作契約の作成のポイントについて解説してきました。ただ、他にも、損害賠償責任の制限や、解除の場合の報酬の扱いなど、重要な条項はまだまだあります。

実際にホームページ制作契約を作成される際には、弁護士に相談されることをおすすめします。もし、私に相談していただける場合には、綿密な協議のもと、依頼される方の実情に沿った契約となるよう尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、今回の解説はここまでとなります。最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール


尾形達彦 弁護士

おくだ総合法律事務所
埼玉県私立西武学園文理高等学校卒
早稲田大学法学部卒
早稲田大学法科大学院修了
福岡県弁護士会所属