証人の日当~いくらもらえる? 




こんにちは弁護士の田代です。
今回の動画では「証人の日当」というテーマについて解説いたします。

『証人』と言うと、よくテレビドラマなどで、裁判の法廷に出てきて「あの時実はこういうことを目撃しました」などを言う、目撃証人ですね。あるいは、医療関係者の方が「この件についてはこういうことになると思います」とか、「これが原因だと思います」とか、そのような解説をしたりする方たちが、『証人』です。
証人はただ(無償)で来てもらうわけではなくて、法廷で証言していただくことについて、”日当”を請求することができます。

時々誤解されるのが、例えば民事裁判の原告や被告の「本人」です。あと、刑事裁判の被告人など、そういう関係者本人は日当を請求することはできません。先ほどのように、目撃者だとか医療関係者だとか、そういう第三者が裁判所で証言をする時、証人として日当を請求することができます。証人は大変な仕事だと思いますが、どれぐらい日当がもらえるのかについて解説します。

まず前提として、日当はどうやって決められているのかという、根拠法令を簡単に解説します。
ざっくり言うと、民事裁判と刑事裁判でそれぞれ法律や規則が決められています。これは公開されていますのでインターネットで検索していただくと内容を見ることができます。
日当は民事と刑事に分かれていますが、その内容や金額は大体同じような決まりになっておりますので、全部ひっくるめて見ていきましょう。

日当の法律・規則では、ざっくり言うと、証人の日当は8050円以内という決まりがございます。鑑定人・通訳人については7650円以内と決まっています。更に裁判員については10,050円以内と決まっています。

日当の他に宿泊料・旅費も請求することができます。宿泊料については地方によって違いがあります。概ね、政令指定都市などを甲地方、それ以外の所を乙地方、というイメージになります。宿泊料は地域によって大体8000円前後と決まっております。

ただ「○○円以内」という決まりですので、幅があります。もう少し踏み込んで見ていきましょう。

全部見ていくと大変ですので、今回のテーマである証人の日当をもう少し分析してみます。
具体的な金額として、裁判所の証人の日当そのものは、私の方では調べることができませんでしたが、おそらく同じような決まりだろうというものについて調査しました。

一つが裁判員候補者。裁判所で裁判員になる前に候補者としてやり取りをする段階では、最大8050円という金額になります。先ほどの証人の決まりと同じ金額です。そして、時間に応じて変わります。
もう一つが検察審査会証人です。これは検察が起訴をしなかったことが正しかったのか(政治家とかの場合でよくありますが…)、こういうことについて審査する時の証人として出てくる人に支払われる日当も8000円が最大となっていますが、おそらく今は裁判員候補者と同様に8050円となっているのではないかと思います。
これも証人の日当と金額がほとんど同じですので十分参考になるかと思い、この裁判員候補者と検察審査会証人の二つを例に考えてみます。

内容は時間によって決まっており、2時間以内で裁判員候補者の場合は4000円台です。検察審査会証人の場合には 3000円~4000円の幅です。
2時間~4時間の場合は、裁判員候補者は2時間だと4740円が目安でしょう。4時間だと5780円が目安だと思います。検察審査会証人は少し金額が落ちまして、2時間だと4000円が一つの目安で、4時間だと6000円弱という目安になります。
さらに4時間を超える場合については、裁判員候補者は5780円がスタートで、ただ頭打ちとなり、何時間かかっても8050円ということになります。検察審査会証人についても金額は似たようなもので、5740円~8000円ですが、これはもしかしたら今は裁判員候補者と同じ金額(8050円)に統一されているのではないかと思います。
他に、移動日については別途4000円程度という決まりがございます。

私の個人的な見解ですが、裁判所での証人は、検察審査会証人に近い金額になるのかなと思います。裁判員候補者と比べ、検察審査会証人が行うことが裁判所での証人とほとんど共通してくるからです。

こういったもので金額で出していくと、だいたい時給1500円ぐらいという結論になります。例えば2時間の場合4000円。この場合は時給は2000円ですね。4時間の場合は6000円で時給1500円くらい。4時間以上の時は時給いくらとは言えないですが、8000円で頭打ちとなってしまうので、時給1500円から2000円ぐらいの金額になるのではないかと思います。

今回の動画では、「証人の日当」について確認しましたが、証人は法廷で結論を決める大事な役割があり、目撃者や、専門家としての知見が求められる、こういった内容の金額のわりには、私個人的には非常に安い金額だなという印象を持っております。
この辺りについては数年ごとに少しずつ改定されて、先ほどの8000円が8050円になったりなど、流動的になっていますので、また今後も変わってくるかと思います。