自然災害の被災者の方へ-各種支援制度や保険等のご紹介
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1 はじめに
この度の震災、豪雨災害等の自然災害により亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
弊所職員一同、皆さまの安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
弁護士として出来ることは、法的支援制度、保険等をわかりやすく解説し、発信することと考え、今回の記事のテーマとさせていただきました。
この度の自然災害に限らず、過去に発生した痛ましい災害によって被災された方々にも適用される可能性がありますので、是非ご覧ください。
2 国の支援制度①――被災者生活再建支援制度
⑴ 制度趣旨
各都道府県が相互扶助のために拠出した基金と、国からの補助金を、「被災者生活再建支援法人」という公的機関を通して、支援金(被災者生活再建支援金)として各被災世帯に支給するものです。
⑵ 支給条件
ア 適用の原因となる「自然災害」
自然災害とは、暴風・豪雨・豪雪・洪水・高潮・地震・津波・噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいいます。
イ 対象となる市町村・都道府県
支援金の支給対象となるか否かは、基本的に、市町村又は都道府県ごとに決まります。
例えば、
・10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村
・100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県
等にお住まいの方が、支給対象となります。
ウ 対象となる被災者
イの市町村又は都道府県内の世帯のうち、アの自然災害により、
①住宅が「全壊」した世帯
②住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難(大規模半壊)な世帯
が、支給対象となります。
※全壊~大規模半壊~半壊の程度は、公的機関による調査に基づき、「被害認定」によって決められます。また、この認定結果に基づき、「罹災証明書」が交付されることになります。
⑶ 支給額
支援金は、以下のとおり、世帯ごとに支払われます。(※ただし、世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額の3/4の額)
かつては、生活必需品の購入・修理費や、医療費、住居の移転費等、支援金の使途が制限されていましたが(住宅の再建等には使えませんでした。)、現在は、被災世帯の生活再建を支援するための見舞金的な性格を有するものとして、使途が限定されていません。
ア 基礎支援金
(以下の①~④は、上記⑵ウの①~④にそれぞれ連動しています。)
住宅の被害程度 | 支給額 |
①全壊 | 100万円 |
②解体 | 100万円 |
③長期避難 | 100万円 |
④大規模半壊 | 50万円 |
イ 加算支援金
また、住宅の再建方法に応じて、以下のとおり加算されます。
住宅の再建方法 | 支給額 |
建設・購入 | 200万円 |
補修 | 100万円 |
賃借(公営住宅以外) | 50万円 |
※一旦住宅を賃借した後、自ら居住する住宅を建設・購入(又は補修)する場合は、合計で200(又は100)万円
⑷ 支援金の申請手続
ア 申請窓口
お住まいの市町村が窓口となります。
イ 申請に必要な書面
□支援金支給申請書
□住民票等
□罹災証明書等
□預金通帳の写し
□その他関係書類
(例:住宅の購入・補修、借家の賃貸借等に関する資料)
ウ 申請期間
・基礎支援金:災害発生日から13か月以内
・加算支援金:災害発生日から37か月以内
次回は、国の支援制度②~災害救助法に基づく応急修理/私的制度/罹災証明書~についてご説明いたします。
最終更新日:2018/12/11
著者プロフィール
井上瑛子 弁護士
おくだ総合法律事務所
兵庫県立神戸高等学校卒
九州大学法学部卒
九州大学法科大学院修了
福岡県弁護士会所属