少年に対する保護処分について

以前、少年法の適用がある『少年』とはいったい誰のことをさしているのか、について考えてみました。そして、その中で、少年法とは、「少年」が犯罪を犯してしまった場合等に、大人と同様に扱うことはせず、それぞれの少年にあった保護の処分をとることによって「少年」の反省を促し、更生させることを目的としたものである、とご説明いたしました。

さて、本日は、ここでいう「それぞれの少年にあった保護の処分」にはどのようなものがあるのか、整理をしてみたいと思います。

【保護観察】
罪を犯してしまった少年であっても、後述する児童自立支援施設や少年院のような施設に収容されることなく、直ちに社会に復帰できる場合があります。社会生活を送りつつ、保護観察官や保護司とよばれる人の指導・監督を受けることによって社会内で更生ができると判断された場合になされる、保護観察の処分を受けた場合です。
保護観察処分を受けた少年は、月に1~2回、担当の保護観察官・保護司のもとを訪れ、近況を報告します。そして、保護観察官・保護司は、少年に対し必要な指導や助言を行います。これを、原則として少年が20歳に達するまで行うことになります。もちろん、保護観察が一時的に解除される場合や、保護観察を継続する必要がなくなったとして終了する場合もあります。
なお、保護観察官は保護観察所の職員ですが、保護司というのは地域の事情に詳しく、経験も豊かな民間の方が、ボランティアとして行うものです。

【児童自立支援施設又は児童養護施設送致】
犯罪や非行を行ったのが18歳に満たないような低年齢の少年であって、少年自身の素養というよりも家庭環境に問題があると判断された場合になされるのが、児童自立支援施設送致の処分です。
また、同じく犯罪等を行ったのが18歳未満の少年であって、その少年に保護者がいない場合や虐待されている場合であれば、児童養護施設に送致されることになります。児童養護施設では、そのような児童の生活環境を整え、学習指導や生活指導等が行われます。
どちらの施設も、後述の少年院とは異なり、支援や保護が必要な子どもを収容する“福祉施設”であり、入所中の児童を支援・養護するのみならず、退所した児童についても、相談やその他自立に向けた様々な援助がなされます。

【少年院】
犯罪を犯してしまった少年について、仮に保護観察処分がなされたとすると、前述のように、直ちに普段の生活に戻ることになります。しかし、少年の態度や犯した罪の重さ、周りの環境等を考えた場合に、すぐに元の生活に戻すべきではない、となるケースもありえます。
そこで、そのような場合には、少年院送致の処分とし、少年院において健全な社会復帰のための矯正教育を受けさせることになります。
少年院にはさらに、初等少年院、中等少年院、特別少年院、医療少年院といった種類があり、このうちどこの少年院に送致されるかは、少年の年齢や犯した罪の重大さ、精神上の疾患の有無といった点を考慮して、どの少年院で矯正教育を受けることがその少年にとって適切か、という観点から決定されます。
なお、少年院はあくまでも少年を矯正するための施設であって、いわゆる刑務所ではないという点には注意が必要です。

このように、犯罪を犯してしまった少年や非行少年には、いくつもの更生の途が用意されています。これは、社会が少年の未来に大きく期待していることの現れであるといえます。もちろん犯罪を犯してしまわないことが一番ですが、もし過ちを犯してしまったとしても、あるいは非行に走りそうになっていたとしても、そこから立ち直ることは十分に可能だということです。また、このことを周りの大人がよく理解しておくことも、少年の更生にとって大切なのではないでしょうか。

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