共有物分割~遺産共有の場合
弁護士・奥田貫介が不動産などの~遺産共有の場合の共有物分割について、動画でご説明します。
こんにちは弁護士の奥田です。前回、共有物の分割というお話をしました。
今日はその続き第2弾ということでお話をしたいと思います。
前回のお話では共有というのは例えば一つの土地があって、この土地を A さん B さん C さん3人で共有という風になってる場合があります。
その時には、この土地のどこかに線が引かれていて、ここから先は A さん、この部分が B さん、この部分がC さんという風になるわけではなくて、 A さん B さん C さんがそれぞれ仮に持分が均等であれば、この土地全体に対して3人がそれぞれ1/3ずつの権利を持っているといったような状況、これを共有という風にいいますよ、というお話をしたかと思います。
その共有状態の解消方法、 3人で一つのものを持っているというのはなかなか物の利用や売却をしたりする場合には大変ですから、誰か一人のものにしたいという場合には、共有物分割の訴えという方法がありますというお話をしたかと思います。
今回のお話はそれからもう一歩進んで、実はこの共有物分割の訴えというのがすぐ使えないケースがあるというお話です。
この共有になるというパターンの中で一番多いのは相続によって共有になるというパターンです。
例えばお父さんが土地を持っていて、子供 A さん B さん C さんが3人います、この状況でお父様が亡くなったという場合には、これは相続によってここの土地はA B C 3人の共有ということになります。
その状態で例えばAは共有物分割の訴えをすぐに起こすことができるかというとそれはできないということになります。
その場合には遺産分割の調停をしなさいということになっています。どうしてかというと、通常、お父さんが亡くなったときには、この財産だけではなく、他にも貯金があるとか株を持っているとか色々な財産があるので、お父さんの財産全体を対象にして、これをどう分けるか話し合いなさいよということで、遺産分割の調停、話し合いをしろということになるわけです。
A さん B さん C さん3人ぐらいの話の時には遺産分割の調停というのはそんなに大した話ではない、3人で話をするというだけですからよいのですが、これが例えば何もしない間に、遺産分割の調停等しない間に 、A さんが亡くなって、さらにこの下に子供が3人とか4人いますよと、あるいは B さんも亡くなってこの下に子供が何人もいますと、C さんも亡くなって、といったような感じや、あるいはさらにその下で子供がたくさんいてというようなことになったりとかすると、気がつくとこのある不動産が例えば50人とか100人とかそういった人数での共有、遺産共有という風に言いますけれども、そういったような状態になってるということがあります。
そうすると、この遺産分割の調停でやって下さいと、その場合にも原則はそうなるのですが、ただその調停というのは話し合いですから話し合いを50人でやって下さいとか100人でやってくださいという風に言われても、この方法だとなかなかやっぱり上手くいかないということになります。
その場合どうするのかというと色々方法がありますが、一つは、 例えばこの土地を誰か一人の人、ある一部の人が事実上10年以上占有管理していますよと言ったような時には、これは時効でここを実際上占有管理していた人が時効で取得しましたよという形で、他の50人を相手に裁判をして時効で取得したということで単独名義にする方法があります。
あるいは、例えばこの相続人ではない第三者が、相続人の一部からその持分を買い取ると、この第三者の方、相続人ではない第三者の方はこの共有物分割の訴えを残りの人たちに対して起こすことができるということになっています。
ですから、そういう方法で裁判をして単独名義にするとこういう方法も考えられます。
そういったような形でその共有状態を解消するということになりますが、ただ実際上は相続人が多数に上るような事案の時には、例えば一部の相続人は海外に行ってどこに住んでるのか分からないとか、あるいは高齢で病気になって施設に入っていて意思疎通ができないとか、そのような非常に困った問題が生じることがあります。
いずれにせよ、そういったような場合には、まずは遺産分割をして共有状態を生じさせないようにして次の世代に引き継ぐということが大切だろうとは思いますが、現実問題として、ずっとほったらかしになっておじいちゃんの名義のままとかひいおじいちゃんの名義のままとかいう土地があり、これを何とかしたいという場合には色々難しい問題もございますので、ぜひ弁護士などの専門家にご相談いただければと思います
最終更新日:2018/10/01
著者プロフィール
奥田貫介 弁護士
おくだ総合法律事務所 所長
司法修習50期 福岡県弁護士会所属
福岡県立修猷館高校卒
京都大学法学部卒