民法改正について、いくつか注目されるポイントをみてきましたが、最後にもうひとつ、「敷金」に関するルールについても、その変更点を確認しておきたいと思います。

 まず前提として、マンションやアパートを借りようとする際に請求される「敷金」「礼金」とは一体何なのでしょうか?両者の違いはどのような点にあるのでしょうか?

 「敷金」とは、賃借人が部屋を借りている間に、家賃を滞納したり、部屋を壊したり、異常に汚したりした場合に、その未払い賃料や、もとの状態に戻す(原状回復)ための修理代に当てられるお金、のことをいいます。したがって、賃借期間中に何のトラブルもなく、特別な修理等も不要な状態で退去する場合であれば、そっくりそのまま返還されるはずのお金、すなわち担保金である、と考えられています。

 これに対し、「礼金」は、貸主に対するお礼の趣旨で支払われるお金であり、返還する必要のないもの、と一般に理解されています。

 したがって、「礼金」については返還どうこうという話には通常ならないのですが、「敷金」については、そのうちどれだけの額が返還されるのかということを争点としたトラブルが、後を絶ちません。敷金が1円も返ってこなかった、敷金では足りないということでさらに数十万円を請求された、というようなケースもあります。

 このようなトラブルが生じる原因は、「敷金」について、きちんとした定義や、敷金でカバーすべき“原状回復”の範囲等が法律に明記されていなかったことにありました。ですので、たとえば、普通に部屋を使用した場合に生じる床の劣化や畳の擦り減りについて、それを修理する費用を敷金から差し引く貸主もいれば、差し引かない貸主もいるわけで、そうすると敷金の返還の額に関するトラブルにもつながっていた、というわけです。

 そこで、今回の改正では、敷金についての定義はもちろん、いつ敷金を返還しなければならないのかという点が法律上示されるとともに、敷金からその費用を差し引くべき“原状回復”の目安についても明示されることになりそうです。

(1)   敷金の定義

「敷金は、賃借人の債務を担保するために賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」

定義については、これまでの理解をそのまま条文にしたものといえるでしょう。敷金の、担保金としての性質を明示しています。

(2)   いつ敷金を返還しなければならないのか

これについては、「賃貸借契約が終了しかつ物件の返還を受けたとき、又は、賃借人が適法に賃借権を譲渡したとき」に、敷金から必要な額を差し引いた残額を返還しなくてはならない、とされます。

(3)   “原状回復”の目安

借主は、退去の時、部屋に生じさせた損傷について修理する義務を負う(そのため、それに必要な修理代を敷金から差し引かれてもやむを得ない)が、「通常の使用及び収益によって生じた損耗(経年劣化を含む)」については原状回復する義務はなく、それ以外の損耗についても「賃借人の責任ではないもの」について原状回復する義務はない、という内容の規定となりそうです。

もちろん、上記のような基準はこれまでにも用いられていたのですが、法律がない以上、これに従わずに多額を差し引く貸主も存在したわけです。法改正後は、そのような心配もなくなりそうですね。

     これらの規定が組み込まれることにより、これまでのような敷金に関するトラブルが減少、あるいは、解決しやすくなるのではないでしょうか。

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