現在、多くの業界で人手不足が問題となっています。このような世相を反映してか、法律相談の中でも、「退職したいのに辞めさせてもらえない」という相談を受けることが良くあります。
例えば、上司に「退職願いを提出したところ、その場で破られてしまった」という相談や、あるいは、「辞めるのであれば、その分の責任をとってもらう」と脅かされたなどの相談があります。このような立場に立たされた場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

法律上、従業員の退職の制限については、雇用契約に期間の定めがあるか(例えば、平成30年4月1日~平成31年3月31日など)、そのような定めがないかによって異なります。

雇用契約に期間の定めがない場合

雇用契約に期間の定めがない場合、労働者は、使用者に対し、原則として、2週間の予告期間さえ置けば、「いつでも解約の申入れをすることができる」とされています(民法627条1項)。そのため、企業等は、労働者からの退職願いを拒否することはできません。

雇用契約に期間の定めがある場合

これに対し、雇用契約に期間の定めがある場合には、「やむを得ない事由があるとき」のみ、雇用契約を中途解約できるとされています(民法629条本文)。例えば、病気や怪我などの「やむを得ない」場合にのみ中途退職が許されるのです。
このように、法律の建前としては、雇用契約に期間の定めがある場合には、労働者からの中途退職もそう簡単には許されないものとされています。

ただし、これはあくまで建前の話ですので、悲観なされないでください。

憲法上、国民には職業選択の自由が保障されていますので、企業が労働者を無理やり働かせることはできません。また、企業は、適切な人員確保・配置をすることで、労働者の退職による損害のリスクを回避することが可能です。このような措置を採らずに損害が発生したとしても、これを労働者に請求することは困難です。

したがって、「退職したいのに辞めさせてもらえない」ケースでは、弁護士が間に入ることで前向きに解消できると思います。

著者プロフィール


田代隼一郎 弁護士

おくだ総合法律事務所
平成24年弁護士登録
福岡県弁護士会所属
熊本県熊本市出身
真和高校卒
九州大学法学部卒
大阪大学大学院高等司法研究科修了