Q.これまで技術者として働いてきた経験を活かして友人とベンチャー企業を立ち上げようとしています。将来は株式を上場したいと考えているのですが、会社にはどのような組織が必要なのでしょうか?

A.「株式会社」には、「株主」の意思決定をする機関である「株主総会」と業務を執行する「取締役」が必要です。
「株式」を譲渡するのに会社の承認が必要であること(譲渡制限)を「定款」に定めていない会社では、「取締役」3人以上で構成される「取締役会」のほか、取締役の業務執行を監査する「監査役」なども置かなければなりません。株式を上場するには、証券取引所の規定で「譲渡制限」がないことを求められますので、こうした機関を置く必要があります。
会社の立上げ当初はご友人とともに思い切った経営をするために「株式」に「譲渡制限」を設けておき、事業が軌道に乗ってから「株主総会」により「定款」を変更して「譲渡制限」を廃止することもできます。
会社の組織をどのように設計するかは、企業の経営に大きく関わってきますので、企業法務に専門知識のある弁護士にご相談ください。

1 「株式会社」の基本的な組織

「株式会社」は、「株式」を有する「株主」が所有者であり、「株主」の意思決定をする機関として「株主総会」があります。
しかし、「株主」は必ずしも経営に詳しくないので、「株主総会」が「取締役」を選任し、「取締役」が会社の取引や借入れなど会社の業務を執行します。
こうしたことから「株式会社」には、「株主」の意思決定をする機関である「株主総会」と業務を執行する「取締役」が必要です。

2 会社の組織と「株式」の譲渡制限

「取締役」は会社の業務を執行しますが、放漫経営で会社の収益を下げたりすることは、「株主」の財産を減少させるものです。
そこで、「取締役」3人以上で構成され、業務の執行についての意思決定をし、「取締役」の職務の執行を監視する「取締役会」が置かれることがあります。
「株式」を譲渡するのに会社の承認が必要であること(譲渡制限)を「定款」に定めていない会社では、「株式」の譲渡により「株主」が入れ替わることが多いため会社の財産を守る必要性が高いので、「取締役会」のほか、取締役の業務執行を監査する「監査役」なども置かなければなりません。
「株式」を証券取引所に上場するには、証券取引所の規定で「譲渡制限」がないことを求められますので、こうした機関を置く必要があります。
これに対し、会社にとって好ましくない人が「株主」になることを防止するため、「株式」の譲渡制限を「定款」に定めている会社は、「取締役会」を設置する必要はありません。

3 会社の組織と経営状況

「取締役会」・「監査役」を置くと「取締役」の独断を防止できるので「株主」の信頼を得やすいことから、「株式」を発行して資金調達をしやすくなりますし、法律上「株主総会」ではなく「取締役会」だけで決めることができる事項が多くなります。しかし、会社の規模が小さく、「株主」が「取締役」を兼ねている場合、経営を自由に決定したい場合もありますから、「取締役会」を置かないという選択もすることができます。
こうしたから、会社の立上げ当初はご友人とともに思い切った経営をするために「譲渡制限」を設けておき、事業が軌道に乗ってから「株主総会」により「定款」を変更して上場の準備をすることもできます。
株式会社の組織については、法律で設置が義務づけられる機関もありますが、会社の状況に合わせて自由に選ぶことができるものもあります。
会社の組織をどのように設計するかは、企業の経営に大きく関わってきますので、企業法務に専門知識のある当事務所にご相談ください。

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