飲酒運転、酒類提供者の責任

飲酒運転が、正常な運転を困難ならしめる非常に危険なものであるということ、そして、飲酒運転をした者及びそれによって事故を起こした者には重い責任が生じるということについては、ここ数年で、多くの国民に正しく認識されるようになってきたかと思います。

ところで、飲酒運転による事故が起きた場合に責任を負うのは、運転者だけとは限りません。
ご存知の方も多いことかと思いますが、「車両を提供した人」、「酒類を提供した人」、「運転者が飲酒していることを知りながら車両に同乗した人」についても、厳しい処罰が待ち受けているのです。
このうち「酒類を提供した人」となりうる可能性が非常に高いのが、飲食店店主や従業員、アルバイト等です。飲食店を経営している方は、ご自身がお客に対し直接にお酒を出すことはしなくとも、管理者として処罰の対象となり得ますので、十分注意していただきたいと思います。

もちろん、酒類を提供したという事実それだけでこれらの責任を負うこととなるわけではありません。提供の相手方が飲酒後に自動車を運転することを「知りながら」、謂われるままに酒類を提供し、その後相手が自動車を運転した場合に、酒類提供者としての責任を負うことになります。
なお、ここでいう「知りながら」とは、相手が飲食後に運転することを確定的に知っていた場合のみならず、そのおそれがあることを認識していたような場合も含むので、この点にも注意が必要です。

具体的に、「酒類を提供した人」が負う責任の内容は、以下の通りです。
・ 運転者が酒酔い運転をした場合
→ 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・ 運転者が酒気帯び運転をした場合
→ 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・ これらの刑罰に加え、例えば酒類を提供した店主が自動車の免許保有者である場合、免許停止または  免許取消しの処分を受ける場合もあり、さらには、運転手が事故を起こして他人に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うこともあり得ます。
実際に、「運転すると知りながら酒を飲ませた」として、飲食店店主が運転免許取消しの処分を受けたという事例があります。件数としては少ないものの、飲食店を経営されている方にとっては、いつ生じてもおかしくない責任です。

歓送迎会やお花見など宴会が増える時期、お酒を提供する側にも、飲酒運転をさせないためのより一層の心がけと対策が必要となりそうです。

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